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家に向かいながらルークはおじいさんのジョナサンと会話をした。六十才になるジョナサンは老人というには若すぎる風貌をしていた。たくましい腕をしていて、鍛冶屋の仕事を今も続けている。

「お前は、父親にそっくりだな」
「お父さんを、知っているの?」
「ああ、娘を奪っていった男の顔だからな。忘れられないよ」

ジョナサンの瞳は笑っていた。
「アレックスはいい奴だったよ。ユダヤ人を差別しなかった。ギリシャ人には珍しく謙虚な奴だった。俺の商売も助けてくれた。いいお客だったんだよ。ダイナが惹かれたのも無理はないと思っていたよ。いい若者だった。割礼を受けて養子になってくれれば問題はなかったのだがな。向こうの両親にとってはありえないことだったさな。俺も、お前のおばあちゃんも、俺たちの神を信じない奴らに娘を取られてしまうことが許せなかったのさ。今では後悔しているよ。もっと長い目で見れば良かったのかもしれない。アレックスは本当の神を求めていたからな」

ルークは気がかりなことを尋ねた。
「僕も、割礼を受けなければ、ダメかな」
「お前はずっとここで暮らすつもりかい?」
「いいえ、トロアスのおじいちゃんとの、約束で、三年たったら、戻って、医者になる、勉強を続ける、必要があるの」

「ふむ。ユダヤ人以外の場合、割礼は強いられてするものではない。俺たちの神が本当の神だと信じることができたら、受ければいいさ。まあ、厳格な教派の奴らは文句を言うと思うが、気にする必要はない。……さて、今日は安息日だ。昼飯を食ったら、好きにしていいぞ。明日から仕事を教えるからな。ここにいる間は働いてもらう必要があるからな。丘に登ればいい景色が見えるぞ。そこまでは安息日にも登っていいことになっているし、お前と同じ年頃の『丘の大将』にも会えるかもしれないぞ」
ジョナサンは愉快そうに笑った。

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